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さくら / シリウスの道 / 魔王
最近の読書記録をざざっと三冊分。
- さくら (小学館文庫 に 17-2)
- 西 加奈子
- 小学館 2007-12-04
by G-Tools , 2008/03/20
さくら
スーパースターのような存在だった兄は、ある事故に巻き込まれ、自殺した。誰もが振り向く超美形の妹は、兄の死後、内に籠もった。母も過食と飲酒に溺れた。僕も実家を離れ東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾に桜の花びらをつけていたことから「サクラ」となづけられた年老いた犬が一匹だけ――。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、何かに衝き動かされるように、年末年始を一緒に過ごしたいとせがむ恋人を置き去りにして、実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には、スーパーのチラシの裏の余白に微弱な筆圧で書かれた家出した父からの手紙が握られていた――。
絵に書いたような幸せも、一つ歯車が狂うとあっさり音を立てて崩れてしまう。
崩れるまでに至る過程を淡々となぞりながら、人の持つ歪みや弱さを浮き彫りにしていく家族もの、といった感じでしょうか。
描かれる状況には全く救いがないのに、筆致がさらっとしている為、そこから受ける哀しみの度合いも薄いです。
それを救いがあると捉えるか、現実味がないと捉えるかは、読み手の受け取り方によるところだと思います。
私は読後、何とも言えない疲れを覚えました。
エンディングにどことなく違和感を感じたからでしょうか。
シリウスの道
東京の大手広告代理店の営業部副部長・辰村祐介は子供のころ大阪で育ち、明子、勝哉という二人の幼馴染がいた。この三人の間には、決して人には言えない、ある秘密があった。それは…。月日は流れ、三人は連絡をとりあうこともなく、別々の人生を歩んできた。しかし、今になって明子のもとに何者からか、あの秘密をもとにした脅迫状が届く!いったい誰の仕業なのか?離ればなれになった3人が25年前の「秘密」に操られ、吸い寄せられるように、運命の渦に巻き込まれる―。著者が知悉する広告業界の内幕を描きつつ展開する待望の最新長編ミステリー。
んー、これはミステリーじゃない(笑)。
企業小説にミステリー要素が少しだけ絡んでいる趣です。
この本は主人公の優しさに感動して思わず泣いたテロリストのパラソルのその後が少し描かれている、とどこかで見たのがきっかけで読みました。
インテリヤクザの浅井が相変わらずかっこよくて渋すぎです。それだけでもかなり満足だったり。
優し過ぎて頑固すぎから上手に生きられない主人公、と言う設定はは相変わらず健在でした。
仕事も出来て頭も切れる広告マンの仕事っぷりと平行して、子供の頃の秘密を共有し合った友達を捜していくプライベートが描かれていくのですが、著者が元広告代理店勤務なだけあって、企業小説の部分の方が読み応えがありました。広告の詳細な作られ方、責任の割り振り方、よりよいものを作り上げる為に積み重ねていく作業工程がとてもリアル。
“テロリスト・・・”みたいな感動はありませんでしたが、テンポよく読めるし、きっちり楽しめます。
魔王
「小説の力」を証明する興奮と感動の新文学 不思議な力を身につけた男が大衆を扇動する政治家と対決する「魔王」と、静謐な感動をよぶ「呼吸」。別々の作品ながら対をなし、新しい文学世界を創造した傑作!
怖い!じわじわと怖い!
自分で考えようとせず、操作された情報に踊る一般市民。世論に身を任せてしまう事の恐怖。
そして恐らくその中に自分も含まれているであろう恐怖。
「魔王」編は読んでいるうちに目の前が暗くなっていくようでした。
「呼吸」編で多少救われるような・・・。
私は大きな流れの中にいる時に、自分の意志を最後まで貫けるのだろうか、と思いました。
正直なところ、わからないし自信もないのですが、目の前にある情報を解析して自分なりに考える癖をつけておきたいし、確固とした考えを持てるように心がけていきたい。
そんな風に読後感じました。
自分の立ち位置を再考したくなる本だと思います。どちらかというと男性向けな印象です。
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Comments & Trackbacks : 7
「オーデュボン・・・」から伊坂さん作品をチェックし始めました。
まだ「重力ピエロ」しか読んでないのですが(笑)
とりあえず、全作品の中から、気になるものだけ・・・って感じですかね。
「魔王」はどうしようかなぁ、と思ってたので凄いいいタイミングのレビュー!!
やっぱりこれも読んでおこうっと(⌒▽⌒)
■柿ママさん
私はまだ重力ピエロは読んでいないんですよねぇ。
面白いといろいろなところで目にしたので、ぜひ読んでみたいのですが。
魔王はわたしはマジで怖かったです(泣)。
こういうの夢に出てきそうでだめだめで・・・。
うぉ!夢に出てきそうなほど怖いのですか!!
怖い映画だの何だのはダメダメですが、きっとそういうのとはまた違う怖さなんですよね?
う~ん、どういう内容なんだか、ますます気になります!!
「重力ピエロ」は「オーデュボン・・・」を読んでると、思わずニヤリとしてしまうシーンがあったりします( ̄ー ̄)
■柿ママさん
にやり、というとかかし、かかしっ?(超きめうち)
んー、ホラーみたいな怖さとは違って精神的に圧迫されるような怖さ、といった感じでしょうか。
じわじわと逃げ場がなくなるようで、ああいうのは苦手です(泣)
あ・・・かかしじゃないんです・・・
っていうと、後はもう結構分かっちゃうかなぁ・・・(^^;)
>じわじわと逃げ場がなくなる
それはそれで怖い・・・。
あ、どうしよう。鈍くてそれを感じ取れなかったら・・・(-_-;)
ちょっと違う意味でドキドキしてきました(笑)
■柿ママさん
えー、かかしじゃないの?
それじゃなんだろな・・・。あうあう。
あー、あの怖さは万人共通だと思うんですけどねぇ。
ヘタレだとかチキンだって自覚症状のある人ならきっと怖いと思いますw
「魔王」
伊坂幸太郎/講談社 ★★★★ 大衆の気持ちを鷲掴みにしていく若き政治家。その政治…