対岸の彼女
- 対岸の彼女 (文春文庫 か 32-5)
- 角田 光代
- 文藝春秋 2007-10
by G-Tools , 2008/03/20
大人になれば、自分で何かを選べるの? 女の人を区別するのは女の人だ。 既婚と未婚、働く女と家事をする女、子のいる女といない女。 立場が違うということは、時に女同士を決裂させる。
ここの人に『ぜーったい今必要な本だから読んでおけっ!!』と何度も念を押されまして、忠実な僕であるワタクシは本屋に行って買い込んできた訳です。
そしてたった今読了。余韻を残したまま感想をつらつらと書こうと思います。
まだ頭の中でよくまとまっていなかったりするのですが、その辺りはご容赦の程を。
TB to 大人になってからの友達。 by PHAT∴LOVESICK
この本は去年の直木賞受賞作で、ちょうど巷で『負け犬』なんて言葉がブームになっていた時に発行されたため、いわゆる『勝ち犬』と『負け犬』の間に流れるギャップを超えて、大人になってから女同士で本当意味での友達になれるのか否か、にスポットが当たって話題になっていたように思います。
でも、読みながら考えたのは、立場を超えた友情は成立するのかと言う事よりも、人を信じ理解するとはどういうことかと言う事でした。
『負け犬』の主人公・葵が高校時代を過ごした町は、私が今まさに暮らしている群馬県で、渡良瀬川が流れる女子高のある町で、前橋や高崎が遠く、なおかつ伊勢崎によりも田舎と言う事は桐生とかあの辺りかな…、と地理まで想像出来てしまうリアルな設定で、過去女子高に通っていた私は、その頃、自分がおかれていた環境を思いだしつつ読みました。
多分、私は葵が高校生を過ごした環境よりもずっと物質的には恵まれていた場所と時代に生まれているはずなのですが、田舎特有の閉塞感とか、女子高特有の空虚な人間関係は、時を経ても変わらず続いているようで。
一緒にお弁当を食べたり、一緒にトイレに行ったり、試験が終わったらみんなで買い物に連れ立って出かけたり。お互いの事はなんでもわかってるよね、みたいな風をふかしているけど、内実まではたどり着かず、本当はただ仲間はずれになるのが怖いから、ひとりぼっちになるのが怖いから続けているだけの、まるで砂の城のような関係。
波が来ればあっという間に崩れてしまうような、そんな脆さを学校における人間関係に感じていました。
もしかしたら、同じ高校出身の子から、そんな事なかったよ、と言われてしまうかも知れません。
でも、事実、私の周りはそんな感じだったと思います。もっとも私がそう言う環境を選んでいたと言う可能性は否めませんが。
張り巡らせられた透明で厚いバリアを乗り越えてまで仲良くなりたいと思うような子なんていなかったし、自分にそこまで人を信じられるだけの余裕なんて全くありませんでした。信じて内面を見せた時に離れられてしまう事が怖かったし、裏切られた時に自分を立て直すだけの度量もありませんでした。
それからいろんな人達と出会い、ふれあう事を通じて、相手の世界から拒絶される事が怖くてできなかったケンカもできるようになったし、自分の心の中にある暗い部分を隠すことなくコミュニケーションを取る事ができるようになりました。
今は、小さく歪んだ価値観の世界にこだわる事でしか存在出来なかった自分を、若かったんだなと笑って振り返る事ができるようになりましたが、私の周りに、殻に閉じこもって自分をかたくなに守って生きる事よりも、傷つく事もあるかも知れないけれど、人を信じて生きていった方がいいと教えてくれる人がいなかったら、きっと作中に出てくる幼稚園ママみたく、年を重ねても変わらず、砂の城の中でしか生きられなかったんだろうと思います。
『窮地に陥って、99人が敵に回ってしまったとしても、たった一人味方がいてくれればそれだけで充分だ。』
そういう風にお互いがなれたらいいね、ううん、そうだから大丈夫だよ、と話せる友達がいる事を私は幸せに思います。年を重ねる事は人と出会う事、人と出会う事は信じ合える人と巡り会えるチャンスを得る事なんでしょう。
そう考えると、年を重ねるという事も悪くないな、と。
人間関係に閉塞感を感じたり、大人特有の小ずるさに疲れた時に読むと心に染みると思います。
読んでいる時じゃなくて、本を閉じた後に泣いてしまいました。
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大人になりたいね
あれ?まだ回線が繋がってるんですけど(苦笑)。ってなワケで悪あがきエントリ。 本…
まだ回線が繋がってたりする(笑)おっかしぃなぁー。
長文コメントになりそうだったので、改めてエントリにしやした。
大人になりたいねぇってずっと言ってようよ。うん。
■陽子さん
さんきゅー。後でコメントしにいく。
うんうん、大人になりたいねぇ、ってずっと言いつつ、自分の青臭さを確かめているってのもまたいいよね。
本を読んでいないので的外れかもしれませんが...
子供故の自分を守る為の「後出しジャンケン」のお話でしょうか。
皆が「後出しジャンケン」で牽制しあっていると、一期一会を逃してしまうというか。
歳をとると後出ししなくても、「ほぼ勝てる」嗅覚が身についてくるので出会うべき人達に出会えるのでしょうね。
「対岸の彼女」ってタイトルがまた良いですね。
紹介してもらうまでは縁の無さそうな本でしたが、読んでみたくなりました。
■zaxさん
いや、的はずれじゃないですよ。
自分を守りたくて、傷つく事を恐れてばかりだと、どうしても牽制ばかりになってしまうんですよね。
それが何を生み出す訳でもないのに。
多分、イタイ目にあわないと「勝てるな」って感覚も身に付かないんだろうと思います。そしてそれが年を重ねるという事だと思います。
この本、男の人でも興味深く読めると思います。というか、是非読んで欲しいです。